2023年度の「鉄旅オブザイヤー」には新型コロナウイルス禍のリベンジとばかりに鉄道に乗る楽しみを訴求した旅行商品が多く寄せられ、どれも魅力的なツアーでした。可能ならば現在駐在している地球の反対側のアメリカからワープし、参加したくなるような商品ばかりです。毎年のぜいたくな悩みではありますが、甲乙付けがたい力作ばかりのため得点差を付けるのが忍びなく、審査に大変苦労しました。
22年度の審査員メッセージではポストコロナ時代の到来を見据えて「23年度は全国津々浦々へ向かう幅広い鉄道旅行が催行され、消費支出の拡大を通じて地域経済、および日本経済をさらに押し上げることを強く期待しています」としたためました。ふたを開けると23年度の応募作品はその通りの結果となり、バラエティーに富み、旅行先もさまざまで、新型コロナ禍の打撃を受けた地域経済の押し上げに貢献したツアーが集まりました。
また、応募作品の参加者の感想には「満足した」といったポジティブな声が相次いで寄せられていました。旅行のプロとして関係先と粘り強く交渉し、顧客満足度が高い企画をまとめ上げた皆様に深い敬意を表します。
24年度の鉄旅オブザイヤーを展望すると、3月16日の北陸新幹線の敦賀駅(福井県敦賀市)延伸や、10月1日の東海道新幹線開業60年といったビッグイベントが目白押しの中で、創意工夫に満ちた鉄道旅行が次々と“発車"するのではないかと期待しています。能登半島地震で大きな被害を受けてしまった石川県などの観光を盛り上げるツアーも強く望まれます。
22年度の審査員メッセージに込めた思いが23年度の応募作品で実現したのを踏まえると、24年度の鉄旅オブザイヤーではそうした期待感や願望が具現化した商品が次々と寄せられるのではないかと夢想しています。誠に微力ながら審査員の1人としてとても感心しながら審査し、採点に大変苦労している1年後の自分の姿を思い浮かべつつ。
(アメリカの首都ワシントンより)