今年一番の大感動旅鉄がここに集結 鉄旅 OF THE YEAR
今年一番の大感動旅鉄がここに集結 鉄旅 OF THE YEAR
第13回鉄旅オブザイヤー 審査員メッセージ
芦原 伸
芦原 伸(あしはら・しん)
(一般社団法人) 日本旅行作家協会 専務理事
「旅と鉄道」名誉編集長
回を重ねるごとに、1つ1つの企画が丁寧に練られ、思いもつかない旅行商品となって仕上がってゆく様に拍手を送りたい。企画者のワクワク感が1つ1つの作品に反映されており、旅行商品というよりはもはや“作品”の域であることを認識しました。コロナが去って、今年は落ち着いた味わいの深い作品が多かったように感じました。
井門 隆夫
井門 隆夫(いかど・たかお)
國學院大學観光まちづくり学部教授
旅行会社の事業スコープや業務内容も少しずつ変化し、企画にかける要員数や延べ時間が少なくなっていると推察する中で、鉄道をテーマにした旅を企画し続けようというモチベーションに少しでもつながっているとしたら、鉄旅オブザイヤーも社会に貢献できているのではないかと思います。今回は特に鉄色を強く(特に撮り鉄をターゲットとしたラストラン系が多く)感じ、鉄道マニアが一大マーケットになっている様子がよくわかりました。欲を言えば、車両更新時の企画に止まらず、鉄路の廃止や周辺地域の限界集落化が近い将来予見される中で、鉄道存続の意義を求めた過疎地域への鉄旅が増えていくことを祈念しています。
山口 昌彦
山口 昌彦(やまぐち・まさひこ)
月刊「旅の手帖」編集長
災害からの復旧となる只見線、南阿蘇鉄道。今後の復旧が待たれる越中能登路の旅。地域の力、希望にもなるのが鉄道。
新幹線も「長距離を速く移動できる」イメージが強いのですが、「かもめVSさくら」のように新幹線でローカルな地域資源に目を向けさせる企画が登場したのは驚きました。
また新幹線プロレスも、なんでプロレスなのか理解できないことが逆に魅力になって「鉄道ってなんでもありだな!」と、楽しい気持ちになりました。
まだまだ鉄道テーマの企画は進化していく、今後にも期待大なわくわくさせてくれる作品群でした。
榎本 聖之
榎本 聖之(えのもと・きよゆき)
バー銀座パノラマ渋谷店オーナー
国内旅行の復活に加えインバウンドも回復し、鉄道旅行をはじめとする観光の復調はとても嬉しく思います。
ただ同時にオーバーツーリズムと言われる事象や深刻な人手不足など、対処せざるを得ない課題も多いなか、旅行会社の皆様の今まで積み重ねてきたノウハウと、卓越した知識と行動力が遺憾なく発揮された各作品を見て、やはりプロは凄いなと感じました。
まだ私たちが気付いていない世界をこれからも見せて欲しいです。ありがとうございました。
オオゼキタク
オオゼキタク
シンガーソングライター
今回も盛りだくさんの旅企画、ワクワクしながら拝見しました。
同じリソースでも、見方、切り方を工夫するだけでものすごく魅力的な商品に化けるんだなーということを感じています。
まだまだ掘っていけば「カツン☆」となにか鉱脈がありそうですね・・今後も楽しい旅作品を期待しています。みなさま、ありがとうございました!
大塚 圭一郎
大塚 圭一郎(おおつか・けいいちろう)
共同通信社ワシントン支局次長、「汐留鉄道倶楽部」執筆者
2023年度の「鉄旅オブザイヤー」には新型コロナウイルス禍のリベンジとばかりに鉄道に乗る楽しみを訴求した旅行商品が多く寄せられ、どれも魅力的なツアーでした。可能ならば現在駐在している地球の反対側のアメリカからワープし、参加したくなるような商品ばかりです。毎年のぜいたくな悩みではありますが、甲乙付けがたい力作ばかりのため得点差を付けるのが忍びなく、審査に大変苦労しました。
22年度の審査員メッセージではポストコロナ時代の到来を見据えて「23年度は全国津々浦々へ向かう幅広い鉄道旅行が催行され、消費支出の拡大を通じて地域経済、および日本経済をさらに押し上げることを強く期待しています」としたためました。ふたを開けると23年度の応募作品はその通りの結果となり、バラエティーに富み、旅行先もさまざまで、新型コロナ禍の打撃を受けた地域経済の押し上げに貢献したツアーが集まりました。
また、応募作品の参加者の感想には「満足した」といったポジティブな声が相次いで寄せられていました。旅行のプロとして関係先と粘り強く交渉し、顧客満足度が高い企画をまとめ上げた皆様に深い敬意を表します。
24年度の鉄旅オブザイヤーを展望すると、3月16日の北陸新幹線の敦賀駅(福井県敦賀市)延伸や、10月1日の東海道新幹線開業60年といったビッグイベントが目白押しの中で、創意工夫に満ちた鉄道旅行が次々と“発車"するのではないかと期待しています。能登半島地震で大きな被害を受けてしまった石川県などの観光を盛り上げるツアーも強く望まれます。
22年度の審査員メッセージに込めた思いが23年度の応募作品で実現したのを踏まえると、24年度の鉄旅オブザイヤーではそうした期待感や願望が具現化した商品が次々と寄せられるのではないかと夢想しています。誠に微力ながら審査員の1人としてとても感心しながら審査し、採点に大変苦労している1年後の自分の姿を思い浮かべつつ。
(アメリカの首都ワシントンより)
栗原 景
栗原 景(くりはら・かげり)
フォトライター
コロナ禍も一段落し、また多彩な作品が増えてきたと感じました。コロナ前の一時期は、地元の人々が総出でもてなすローカル線活性化ツアーが流行りましたが、今は鉄道会社と一緒になって、これまでに考えられないような斬新なアイデアが実現するようになったと思います。物価の上昇が続き、旅行業界も大変だと思いますが、これからもリーズナブルな価格で、鉄道の魅力に触れられる作品を生み出していっていただけたらと思います。
崎本 武志
崎本 武志(さきもと・たけし)
江戸川大学社会学部現代社会学科長・教授、日本国際観光学会 会長
コロナ禍を経て、鉄道も大きな転換点を迎えている。
これらの転換点において、新規開業や引退する車輛を非常に巧みに活用し、鉄道の魅力を存分に引き出した優れたツアーが、今年も数多く出揃った。
素晴らしいツアーの企画に携わられているエージェントの皆様のご努力に、心から敬意を表したい。
その一方で、地域鉄道の存続が危ぶまれているケースも存在しており、鉄道の観光活用の必要性がますます重要となってきている。
今後も鉄道の魅力を引き出しつつ、地域を元気にするような、そんなツアーの出現を楽しみにしている。
南田 裕介
南田 裕介(みなみだ ゆうすけ)
ホリプロ鉄道好きマネージャー
インポッシブルだと思っていたことが実現し、お客さんが楽しむという最高の結果をうみ、また不可能が可能になりお客さんが集まる、この好循環は、年々うねりをあげて周りを巻き込み想像をぜっする規模まで膨れ上がりました。
しかしその実現までには会社の造成担当の方々の惜しみない努力と、それを受け入れる鉄道会社をはじめ各社の寛容。旅行会社の方との信頼関係がそこにはあったはず。
もちろんお客さんとの信頼もあります。信頼のトライアングルは強く、今後もより旋風を巻き起こす作品が出来上がることが楽しみでなりません。
豊岡 真澄
豊岡 真澄(とよおか・ますみ)
元祖鉄道アイドル、ママ鉄代表
今回はいつもにも増して、参加した皆さんの満足度がとても高いツアーが多かった印象です。一人で楽しむ鉄道趣味から、みんなで一緒に思い出を作るものが増え、笑顔で過ごせたのだろうなと浮かぶものがたくさんありました。企画した方々の苦労や思い、中で働く人たちのおもてなし、すべてが合わさり楽しい思い出となり、鉄道がもっと好きになる方が増えたらいいなと願っています。
矢野 直美
矢野 直美(やの・なおみ)
旅をしながら「撮って書く」フォトライター
今年も魅力的なツアーばかりで、楽しく迷いながら審査させていただきました。各地で引退列車がある、エポックメイキングな年ならではの素晴らしいツアーもありました。13回目ということで、初回から時代も変わり、かつては鉄道ファンにしか好まれないと思われた個性的なツアーが、逆に広く「面白い」と受け入れられるようになったように感じます。それによってツアー企画も、ますます旅行のプロならではの車両や路線の選択、日程や宿泊地などが生かされる素晴らしい企画で、すべてが参加したいと思う魅力的なツアーでした。